
日本から世界に向け、データによりもたらされる薬学教育の主点への影響について

初期段階の発想から、良好な臨床転帰まで、どのような治療法の選択肢をたどっても、長期にわたり費用もかかります。臨床医、さまざまな衛生医師、ならびに製薬会社は、個々の患者に対して有効な治療法は、有効性についての経験的証拠に基づいて計画しなければならないことを理解しています。
医療的介入や臨床医療のタッチポイントがすべてデジタル処理で記録される時代においては、どのような治療も、考え得るさまざまな治療法から選ぶのではなく、個人の病歴に基づいて計画される日が来ることが容易に想像できます。ありがたくも、その日は近づいていますが、まだ身近ではありません。しかし、これまでにこちらのページで何度か取り上げてきたように、日本企業のMDVと、オーストラリアのリアルワールドデータ分析チームのProspectionとのデータ提携により、急速にその日が近づいています。
この分野におけるProspectionのユニークな特徴は、患者の長期的なデータ(個人の人生のかなりの期間に及ぶ情報)を取り込み、たとえば同様の病状に基づいて治療法を相互参照し、患者の最良の転帰を得るために最適な薬、投薬量、その他の選択肢を発見できることです。
Prospectionの日本およびAPACの責任者であるGreg Hughes氏にお話を伺ったとき、MDVとのデータ契約が最重要課題でした。MDVは日本全土から集められた約4,000万人の日本の患者の詳細な病歴データを保有しているため、MDVの役割は格別に重要であると、Greg氏は話していました。Prospectionにより特別に設計されたデータ処理能力とMDVの包括的なデータセットにより、臨床医と製薬会社は、地域、国、症状ごとに、複数の症状に対応する治療法について意義のあるデータを手に入れ始めています。
MDVによる日本のデータセットと、Prospectionが有する世界中から収集された多彩なデータリソースを組み合わせることで、アルゴリズムの有効性が改善されます。このような改善と拡張し続けるデータが融合し、動作が繰り返され、データが追加されるごとに、アウトプットの質が向上します。「長期的なデータが重要です。当社では、患者を5〜10年の期間で追っています。最適な長期データとは、医療システムとの相互作用が一件ごとに確実にわかるデータですが、そのようなデータセットは稀です。オーストラリアにはそれがあり、高度な予測アルゴリズムを組むには非常に適した国です。(中略)オーストラリアで構築されたアルゴリズムを、病理データが蓄積されている日本で使用するという絶好のケースができました。そこで、完全なデータで組まれたアルゴリズムを使い、アルゴリズムを改善するための病理データを含むMDVのデータを用いてさらに組みあげました。これをデータが非常に細分化され、確信できる長期データを得ることに苦戦しているアメリカで利用することができます。」
しかし、データセットがすでに存在するのであれば、どの製薬会社でも情報を拾い上げ、自社のデータサイエンスチームで実行できるのではないでしょうか。Greg氏は、それは可能ではあるが、リソースとコストの問題であると話しています。「従来は、製薬会社がMDVからデータ抽出を購入していたかもしれません。しかし、病期を判明させ、治療法の種類を理解するなど、そのデータを意味のあるデータセットに変換する方法を見つけ出すために数か月かかり、さらに意義ある分析データを得るまでに数か月かかります。Prospectionでは、それらが数週間で可能です。」
このスピードは、患者の病歴、治療、長期的な転帰と、Prospectionによるアルゴリズムに「書かれた」関係性を発見することに着目することによってもたらされます。同社は「製薬業界にサービス提供しているという点で特殊である」とGreg氏は話しています。「当社では、ひとつの疾病に対し、一種の薬、あるいは一連の薬を服用している患者を調べます。どのような特性によって良好な転帰が得られるか、また、同じ疾病の同じ病期の患者の中で、薬剤1に効果を現す患者もいれば、薬剤2に効果を現す患者がいるのはなぜか、といった点です。」
例えば、MDVによる日本人患者データの特定のケースの場合、企業は都道府県単位まで焦点を絞って、アウトリーチプログラムによる最も効果的な結果を得ることができます。これにより、患者の転帰は最も必要とされるところで改善され、データセットの極めて貴重な分析データにより、人々が総合的に望ましい生活を送る上でのさまざまな条件にわたる全体的な医療改善が促進されます。
これを記している時点でGreg氏は、まだ初期段階である、と話していました。「(MDVとProspectionの)契約は比較的最近のため、現在のところ、わずか6週間しかMDVによる地域的なデータを調べていません。しかし、これまで見てきたどの治療分野でも、著しい地域差があることが分かっています。それによって、どの地域で製薬会社が教育活動に重点を置いているかを判断できます。地域によっては、患者が投薬計画に従わないなど、順守に関わる問題がある場合があります。あるいは、ある薬によって効果が発揮されることが示されている特性を示す患者に、その薬が処方されていないという状況もあります。このように、地域により活動が非常に異なることがあります。」
MDVのデータは、総人口1億2,000万人のうち、4,000万人の長期的な病歴を保有しています。この情報量は、統計的に高い信頼性があります(データセットが小さいほど、異常がトレンドとして示される可能性が高くなります)。Prospectionの専門的なデータサイエンスと組み合わせることで、オーストラリア、日本、そしてさらに広範囲に及ぶ世界の地域で医療の予後が有望視されます。
MDVとProspectionの新しいパートナーシップの詳細については、こちらの詳細記事をご覧ください。また、Prospectionのデータ変換の有効性については、こちらをクリックしてご覧ください。
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